白くまどろむ間に、世界がまだらになってゆく。わたしを失う、あなたが生まれる。胎内で蠢くわたしの海が絶え間なく波を造るのは、きっと、その全てをあなたが揺らしているからだ。
まだ冷たくはない。ただ、密やかに生温い。そうして繰り返すことを正しいとは思わないけれど、あなたにとって正しくあればそれでよかった。あなたが定義づけるものが、わたしの全てであって。それが喩え正義でないとしても、確かに永遠なのだ。
せめてまだ息はしていてと抑えこんで、それでも、幻のように軽くなるのは、わたしが足りないからなのだろうか。いつの日か、ここにいるあなたが生を受けて、左胸にある心臓がはたらくのをやめるその時まで、この問いかけはきっと続くものだと思うから。
あなたの声が軋んでゆく
聞こえなくなってゆく
そうして世界は失ってしまう
……ああ、逃れたいのに
終わりなんて到底遠い。まだ、生きるの。