落日のインフレーション/北街かな
teして
空間を、その動きを
相転移を、くるめくインフレーションを
いつかのすべての起始を
反転したあの時を
きしきしと鳥らしく
風とともに在りながら
永久記憶を
継続試行している
ぼくらが進化のとき忘れた海のそこのいのちのひみつを
必ず手にするサと友人は水泳を始めた
彼は鳩に豆をやる
幸せの意味合いをぼくは拾う
おとずれた伝書鳩がまた落ちる
珪素製のクチバシで死亡届を咥えたまま横たわる
修理してあげようかと手を伸ばせば
びくんと再起し駅ビルのむこうへ
到達点へ
消失の落日へ
残光をこぼし
羽ばたき去った
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