宇宙速度のフラグメンテーション/北街かな
大気ごと抱えて回るまっさお惑星に目を回し
ずっと止めてきた呼気を解き放つ、そのタイミング
軌道上に血液の曲線を引いたんだ
ホラ、ほねが、ひふが、筋肉繊維が、つめが、歯が
眼球が
ばらばらに引き離れてゆく
のが、わかる…
生死について細かくなりながら考える
知ってる動物の声を真似れば、とたんに悩みは停滞する
孤独にかんする恐怖が分け入るように流れこんできて…
眼球がついに視神経を分断して脳から遠ざかった!
あまりさみしいから涙を吐き出してぶるぶるぎょろぎょろ震えてしまった
ふにゃになってく僕の目は、失いゆくこころに空想の手を伸ばす
しだいになにも見えなくなる。
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