夜の写真/
佐藤伊織
写真を撮りたいときは
いつだって真夜中で
撮れる技術やカメラは
いつも
僕の手にはなかった
夜が集まって静かに騒ぎだす
黒い影
夜の一つ一つに色をつける
黒い色は様々な色で溢れ
差し出した手の隙間から漏れる光の渦
木漏れ日のような夜
光は真夜中を黒く照らし
眩しすぎるほどの光
眩しすぎるほどの光
そして
砂の流れが耳の後ろで
ざわめきだけを残すのを
じっと聞いていた
撮りたい写真は
いつだって夜の写真
そんな写真は
いつだって撮れない
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