隣人/
霜天
溜まっていくとして
そこから掬った手のひらで
何かを綺麗に流せるでしょうか
傾けば零れるような器の上で
私は静かに、寝返りをうつ
誰にも知られないまま、隣人は家を出て行った
溶けてしまったのだ、と、納得することにした
私は庭に穴を掘って、少し切った髪を、埋める
かたちになれなかった私たちが、いつか芽生えてくれますように、と
遠くを見る、遠くのことを、思う
逃げるように、焦がれるように
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