夜航/山中 烏流
 

吐き捨ててみる

意味が分からないまま
それを受け止めたひとは
顔を赤らめながら
湖に
飛び込んでいってしまった

私は、その様子を
こっそりと
覗いているだけで
それ以上の何かを
することはない


日付の裏側に
両手を伸ばしたら
自らのそれと、よく似た手に
弾かれてしまった

真ん丸に開いた目を
突き刺す視線

蔑まれているような
そんな気分










落ちていきながら
見上げている、唇に
あまりにも陳腐で
聞き飽きた文字列が降る

呆れる頬が
私に反して、ただ赤いのは
それでも愛しいからなのか
それとも


この光景を
どこかで見たような
気が、するからだろうか










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