慈雨/セルフレーム
瞳の先の緑、
震える人差し指の赤。
彩は溢れかえって、
私の胸の中に浸み込んだ。
色の中に浸っているというのに、
残像は消えてしまった。
貴方のブレザーの黒、
私のスカートの水色。
綺麗な眼の色、真っ白な肌、色素の薄い黒。
チャイムを聴く。
時計を見る。
ペンを掴む。
もう1度廊下側を見つめる。
ペンを離す、しまう。
もう1度空を見る。
せいてんのあおぞらのもと
ひこうきぐものざんぞうはみえず。
貴方が、
私じゃない名を呼ぶのが、
聴こえた。
―でもまだ、
さよならは言いたくないの―
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