ねこ/山中 烏流
 

冷蔵庫の取っ手を引く

並んだ紙パックから
見慣れたものを選んで口を付ける
だからと言って、別に
そんなに好きではないし
大して美味しくもない



寒気が止まらない
思えばいつもそうだったような
そんな気がしている

顔を洗い、鏡を見て
私ははっとした
こんなところにいたのなら
なるほど
治る筈がない



窓の外から
聞き慣れた声がして
私はまた、いつもと変わらずに
玄関へと向かう

ふいに当たった尻尾で
何か倒したみたいだけれど
被るのはもう面倒だから
知らないふりで、いいだろうか











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