挫折の青/亜樹
に、と私は思っていた。私は妹に対してははっきり言った。「あんたの絵は下手だって」と。すると、妹は描き直すのだ。何度も何度も。私に指摘された箇所が直るまで。何度も。いつの間にか妹の部屋に転がるスケッチブックは、私が中学校のとき描いたものとは比にならないくらい高く積まれていた。
先日、妹に大学の画展に誘われた。彼女の絵が飾られているらしい。私はもう、高校から先の彼女の絵は見てなかった。ひどく久しぶりに、妹の描いた絵を見た。
それはやっぱり、仕事にできるようなレベルではなかったけれど、あの日私が描いていたものより、ずっとずっと素敵な絵だった。素晴らしい絵だった。
その絵の前で立ち止まって、じ
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