白兎/音阿弥花三郎
 
白兎は視界から消える
羞恥にまみれ しかも無防備に
何も見ていない兎の目
盲目の充血が痛ましく雪原に消える

去った後に残されたもの
耳を覆いたくなる残酷な幼い声
汚らしい食い残し
おびただしい丸い糞

こどもが抱きしめるぬいぐるみに似て
しかし肉の臭い
充満する血と 薄皮の中の死

白い毛皮の下の生々しい肌色
赤い肌色を覆うボツボツした毛穴
毛穴の奥には何もない暗黒
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