未完の、ソネット 「遺」/
望月 ゆき
まだ名づけられていない、
連続する瞬間で構成された時間を
拾い集めつづけても
綴じるためのすべを、忘れてしまった
わたしたちは、かわるがわるに
世界を四角く切り取ったり
はがしたりしながら ときどき
青空が青い理由について考える
夢を、みていた
風景だけが饒舌で、しかし
そこは帰るべき場所ではないと知っていた
在るということを失ったとき はじめて
時間が消滅し、
わたしたちを残すための言葉が生まれる
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