スプーン一杯ぶんの女の子のロボット/アヅサ
 



ここは電子が積もってできた海です
僕はもうずっと長い間
女の子のアルミのような髪の毛に
終わりかけの夕暮れが映るのを
見ています
それはなんだか
シベリアの雪より南極の氷より
冷たいように感じます
女の子がすこしこっちを向いて
なにか難しいことを言いました




「 … … … !! 」




僕に難しいことはわからないけれど
女の子のひざの裏や
爪の甘皮なんかが
やわらかいことは知っています
それはいつの時代もかわらない
ひとつの世界なんじゃないかと思うのです



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