アンフレグランスド/aidanico
 
メイプルソープの例の髑髏の写真を見て脳みそが後ろに転がってから前転倒立をいとも綺麗に極めてくれた頃の感覚を、僕は忘れない。携帯の音声認識に眉と静脈を顰めながらも必死にマイクに向かって叫んだことも、興味本位で朱色のマニキュアを姉の鏡台から引っ張り出した時のあのツンと鼻を刺激する薬品の匂いや、鮮やかな朱と対比されて浮き上がった自分の手の白さも。友人から勧められてそこそこ可愛い女の子と付き合ったけど、手を握ろうとも思えなかった、その代りに、その友人に恋人が出来たときに激しく動揺して、ベッドの中で布団に籠もって一ヶ月近く自慰に耽ったこと、その凡てが、僕の忘れがたい青春の一ページであり、また修正ペンなんかで
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