冬雨/見崎 光
 
丹念に温めた躰を
その一粒は意図も簡単に
冷やしてゆきました


とんとん、
からん

流れても流れても
肌は通わず
なぞってもなぞっても
白に触れることは
許されません


ぺたん
ぽとん

氷の池を深めて明けて
滴の塔を広げて暮れる
やがて行き場を無くし
零れたまんまの
水となるのです


丁寧に暖めた体を
もう一粒が芯まで
冷やしてゆきました



冬は雪を忘れたのでしょうか
それとも心が
四季を置いて来たのでしょうか




戻る   Point(2)