冬雨/
見崎 光
丹念に温めた躰を
その一粒は意図も簡単に
冷やしてゆきました
とんとん、
からん
流れても流れても
肌は通わず
なぞってもなぞっても
白に触れることは
許されません
ぺたん
ぽとん
氷の池を深めて明けて
滴の塔を広げて暮れる
やがて行き場を無くし
零れたまんまの
水となるのです
丁寧に暖めた体を
もう一粒が芯まで
冷やしてゆきました
冬は雪を忘れたのでしょうか
それとも心が
四季を置いて来たのでしょうか
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