冬色/宣隆
 
「もういいよね」って
風の色を
真似した僕は
揺れる足跡
置き去りにして

手のひらに落ちた
雪が色を
失うような
いつもの道に
残した言葉


ほどけた靴ひもを
結ぶことさえ
できないくらい
精一杯の気持ちで
歩いていくことが
あの頃の僕らには
全てでしたよね


沈む足音と
冬の色が
重なる夜は
今でもやっぱり
躓くのです
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