サボテン/ゆうと
 

あのひとはだまって
わたしをだきしめた
あのひとはつめたくて
だけどあったかくて
わたしはなにも、
なにもいえなくなってしまった



あめはやんでいた
きっとずいぶんまえに
やんでいたのだとおもう
だけどあのひとは
ずぶぬれだった

  ――そうだ、

きょうも
きのうも
そのまえも
あのひとのところでは
ずっとずっと
あめがふっていて
だけどいつも
わらってたんだ



サボテンがはなをさかせたの、
そういったら
あのひとは
うん、
とだけいった

そして
シロ、って
わたしをよんで
だきしめていた うでをはなすと
すきだよ、って
わたしのめをみていったんだ




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