冷たい床/いのせんと
 

昼寝から覚める夕刻に
酷く冷たい床に身を縮めて
温い膝に唇を当てた

ふぅと
吐きだされた息は床の上
ずずずと
滑るようにあちら側へと
流れていくのが見えたから
私なんだか
一人のような気になってしまって

手を伸ばして取り戻そうと
うんと伸ばしてみたのだけど
冷たい床に温度を取られて
指先は凍っていたから
私動けなくなってしまってた


暖色の光は
優しく撫ぜていくけれど
動かなくなってしまった私
感じるわけないのに

温かいもの
伏せてしまった眼の隙間
流れていくのを
止められないから

いっそう身を縮め
唇を強く押し付けるのです

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