墜ちる鷲/はなびーる
 
した
ホッキョクグマは痩せた身体でうろついていました
カマキリのメスはオスを食べようと追いかけていました
父親は赤ん坊の粉ミルクが欲しくて万引きしました
若者はネットカフェで死んだように眠っていました



とてもとても大きな鷲が
翼を広げて
ゆっくりと墜ちてゆきます

パイロットは勇ましく胸を張りました
「われわれは困難を乗り越えるのだ」
ある音楽家はその昔いいました
「人類はいつか滅びる。その滅び方が問題だ」
新しいページを書き加える歴史家は
まだ、いません


イランのモスクに
ヨーロッパの宮殿に
アボリジニの集落に
キリマンジャロの麓に
アマ
[次のページ]
戻る   Point(2)