のび太の虚無の世界/パラソル
 



のび太が虚無におそわれ無気力になった
もともとそうだったが、あやとりすら
やらなくなり、好きな鼻糞もほじらなくなった。


ドラえもんは、もともと傍観主義者なので、
むしろこの状況を面白くかんさつしていたが、
のび太がジャイアンに襲われても、スネオに
巨大な資産をかさにかけた疎外をされても、
何もいわず、何もかんじず、
ただただ、やしの実のように、ぼーっとしてるのを
見て、ついにしびれを切らした。


「どらえもおぉぉん!!」
この涙と鼻水がまじったなさけない声、
それに続く、自己の能力をまったく省みない
身勝手な願望。
かれは、この声を聴くたびに、
[次のページ]
戻る   Point(1)