サキュバス/1486 106
眠れない夜が続いていたのは
抑えられない舌の渇きのせい
肩書きを餌に抱いた女は
体以外預けてはくれなかった
煙草の煙に乗せた別れの台詞も
すべてはシナリオ通りの流れ
このまま誰一人愛することもなく
孤独な生涯を送っていくと思っていた
それも今夜で終わりそうだ
サキュバス
お前が男を誑かす悪魔だと云うのなら
全身全霊をかけて楽しませてみろよ
俺のすべてが欲しいと云うのなら
それに見合う刺激と快楽をよこしな
人間離れした美貌に魂を奪われた
こんな清々しい気分は初めてだ
お前にとってはただの悪戯でも
俺にとっては文字通り命懸けなのさ
くれてやる
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)