生地のはなし/伊月りさ
 
、から
体は痛くってもいい
交接をこえる術を見出したので
わたしがいなくなっても
きみのわたしになっても
むしろその矜持を傷つける盾になりたい、から
体は痛いほうがいい

頭のなかで
今年一番の北風から守るよ、って
その孤高を鼻でわらって
かわいいね、
かわいいね、って
撫ぜる頭のあたたかさを
おもうわたしの頭のなかで
きみはわたしを押しつぶしていく
頭が転じたいびつな布で
きみをくるんでいる愛
のような優越になって
わたしがひきのばされていく
わたしが保護になっていく
わたしが体温になっていく
わたしにまもられてわたしと一緒でないと
死んでしまうきみになっていく
から、体が痛いことに笑んでいる

んだよ、と
解説をするこの頭
きみは横目でなにかを言って
布団にくるまり背を向ける
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