生姜湯/Affettuoso [アフェットゥオーソ]
 
京の大学に合格していたこと
  誰も何も知らず

  湯気みたいにうやむやに脆くて おだやかで




  *







    霜の匂いを纏って
    母さんのおさがりのコートを着て
    毛玉だらけの手袋で
    髪にはすこし粉雪をつけて
    息はぼんやり白くて
    頬ばかりが紅くて



   兄さん、

   と呼ぶ声が
   冷えた指先から俺のなかに。













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