Bad-s-tripper-King/影山影司
た臓物しか取れないだろうが、ジャンク品扱いで売れば買い手はつく。
もっとも、『金』の価値なんて後数年もすれば無くなるだろう。さらに十年も経てば、文明が滅びる。それからゆるやかに人間という種が死に絶える。百年だか千年だかかかるだろうが、確実にその時は来る。
耳元に幸福カプセルを取り付ける。目的地だ。事務所は倉庫に併設されたビルの三階。ひび割れた壁面。雨が降ったらよく滑る階段。悲鳴が途切れ途切れに聴こえる。また臓器ハンターの連中が麻酔無しで切り刻んでいるのだ。彼らはこの世で数少ない、カプセル無しに幸福を感じられる人種だ。もしくはそう信じ込みたがっている人種だ。
彼らに心臓を取り出す
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