Bad-s-tripper-King/影山影司
 
 ポリバケツの底、カプセルを拾い上げる。これで最後だ。そろそろこういった仕事は部下に任せるべきなのかもしれないが、ここ最近、まともに動ける人間は少なくなっている。国家が滅びるとき、生き残るのはマフィアだと思っていたがどうもそうではないらしい。国家もマフィアも結局は集団に過ぎないのだろう。本質は人、人、人であり、法や力ではないのだ。
 カプセルを耳たぶにチェーンで取り付ける。きっかり十分。軽い酩酊と深い感情が暗躍する。暗がりへ駆け込んで、壁と壁の隙間に挟まりたい衝動が高まる。暴力的な程のネガティブだ。全てが恐怖や吐き気と接続している錯覚。平坦なはずの地面に水溜りがあることが恐ろしい。自らが装って外
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