空の時間、断筆まがいと全容/れつら
事かとは自分でも思った。正直に言おう。詩はただ、逃げ場だった。そして今もそうである。
一般的な学生よりやや遅れて、しかし大学を出ることがようやく現実味を増し始め、こんなことを書くということがどのようなことか。僕はけりを付けたがっている。この空の時間に。逃げ場である、ということは簡単に僕を許してはくれなかった。逃げるためには理由が要る。これは敗北ではなく転戦である、と他人に声を大にして言う、大義名分が要る。我々は価値のもとに生きていかねばならない。そう促す声がずっと鳴っていた。
詩を書くためには時間が必要である。それは僕やあなたが思うよりもずっと長く、果てしない時間である。まずはそれ
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