水槽とブルーハワイと所有と幸福/青の詩人
所有は不自由だ
持つ側も 持たれる側も
パトラッシュとネロのように
望む不自由が同じならいいが
水槽の目は死んでいる
私なら気持ち次第で越えられるが
彼らは決して抜け出すことはない
あまりの狭さに天使の羽が悲しい
魚の目は本来もっと輝いているはず
未来の海を想像して
キラキラしているはず
けれど私たちが知るのは死んだものか
死にゆくものばかりだから
「出してやって」
そう言いそうになった
だけどそんな当たり前の感情が
この水槽のなかでは禁じられる
なんとなく落ち着かなくなって
私が店を出ようと立ち上がったとき
多くの目が一斉にこっちを見た
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