てぃん とぅん てん とぅん/AB(なかほど)
伸べている
東京ってさ
こんなはずじゃなかったよね
って言いながら
膝を抱えながら窓の外を眺めてる僕
風は
風
風が吹いていたよ
いつも懐かしい風が
君の街にも
君の懐かしい風が
君が振り返れば
その風に触れて
いつでもやさしいひとたちの
顔が浮かんできたはずだよ
あれから
もういくつもの冬が過ぎた
風
てぃん とぅん てん とぅん
うまいことが言えないんだ
こんなにも遅れてしまって
ようやくやさしくなれそうな気がするのに
それでも
うまく言えないんだ
今住んでいる町からも
手を伸ばせば
やがて聞こえてくるのか
てぃん とぅん てん とぅん
てぃん とぅん てん
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