最高の酒/松本 卓也
この世で一番に苦く美味い酒は
心が独りぼっちになった時になって
初めて味わえるもんなんだぜ
独りぼっちになる為に
どうしたら良いのかって言えば
まぁ割と単純で簡単なことでさ
例えば心情を吐露しないとか
分かり合う為の言葉を諦めるとか
何でも構わないし何時でも良い訳だ
心根の問題なんだよ
酷く寂しいと思えばいい
理解されないという心の領域を
ほんの僅かだけ踏み出した後に
そこらへんの適当なコンビニで
一杯百五十円満たない程度の
安っぽい酒でも呑んで
社会に絶望したフリしながら
一気に胃袋に流し込んでみればいい
明日になったら全てが終わったことの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)