わたしが蛾/ふもと 鈴
蛾を供えにいく/
かつての田んぼを新古書店にかえてしまったため
記憶のモザイクをひっぺはがしに
やわらかい胴体を
すぐにでもつぶしてしまいそうな
半切れの胴体を
モザイクには耐え難く
日常そのまま突き落とす
転がった
アスファルトと胴体は
叩きつけて、
粉から火葬をはじめにゆく
用済みの形容詞が嘘くさい
かつてはそこにあったのだ
(派手な自意識が蛾の醜態を濁している)
高次とは、よく言ったものである
アウフヘーベンをガン鳴りのロックンロールにのせて
田んぼの上
レクイエムと、浮遊する
さして気にしないはずが
全身すみずみずぶ濡れになって
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)