わたしが蛾/ふもと 鈴
 
蛾を供えにいく/
かつての田んぼを新古書店にかえてしまったため
記憶のモザイクをひっぺはがしに

やわらかい胴体を
すぐにでもつぶしてしまいそうな
半切れの胴体を
モザイクには耐え難く
日常そのまま突き落とす

転がった
アスファルトと胴体は
叩きつけて、
粉から火葬をはじめにゆく

用済みの形容詞が嘘くさい
かつてはそこにあったのだ
(派手な自意識が蛾の醜態を濁している)

高次とは、よく言ったものである
アウフヘーベンをガン鳴りのロックンロールにのせて
田んぼの上
レクイエムと、浮遊する

さして気にしないはずが
全身すみずみずぶ濡れになって
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