焼却炉/カンチェルスキス
も
浮浪者は動かないままだった
誰かが通報し
救急車が駆けつけても
もう助からないことは
誰もわかっていた
男の攻撃は
あと百回蹴り上げても
おさまりそうになかった
すぐ近くの動物園では
ピンクで終わりゆく
何羽かのフラミンゴが
気まぐれに
片足で立っていた
五時になれば
時計台から
白雪姫が出てきて
楽隊と
踊りとともに
歌をうたう
一人の中年女がやがて
ついたてみたいに立ちふさがって
男のふるまいを
止めた
蹴り上げる男の足が
空振りした
男はずっと裸足で
浮浪者
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