爆裂(上、後)/鈴木
 

 ――なにがわかめだ!
 殴られた。仰向けになると水玉が目に入って拳の軌道が読めなかった。冷たい草々の上を転がっているうち息が上がり互いは互いを解放した。そこは勝也が私物をばらまいた区域であった。ふと拾い上げた写真には同年代の女子の水着姿が収められていた。
 ――泣いているの?
 ――泣いてないよ!
 ――震えているよ?
 ――寒いだけだよ!
 ――あ、そう。
 ――涼ちゃん。
 ――なに?
 ――ぼくって勝也より強いかな。
 涼斗は走り出す。
 ――祥ちゃんの家まで競争だ!
 防水性をも併せ持つ高性能デジタル腕時計によると十五分後にマンション広場へ到着した二人は、雨と草
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