爆裂(上、前)/鈴木
よかったが、熱が次から次へと発生するので一層の迅速を努めた。通りすぎる車の走行音が興奮に拍車をかけ、眼前に線路を敷設した彼は蒸気機関と化し出発進行を高らかに告げて疾駆し始めた。「社ヶ丘パークマンション」の棟の間の通路は回廊式である。今しがた出てきたC棟から左へ走り出すとすぐにB棟へ突き当たり、左折すれば両側が建物である暗い直線、先はT字路で右に曲がると敷地の外に出てしまうためまた左折して小階段を上る。視界が開けたところで彼は速度を緩めた。マンション広場である。先の二つに加えA棟にも囲まれた憩いの場は半径五メートルほどの円形で、ところどころに置かれたベンチ共々茶を主体とする色調であったのだが、この日
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