裁判所へ行こうよ?/猫のひたい撫でるたま子
る。
「トントン、判決、同罪!」
それを聞いたとたん、記者たちは一斉に外へ駆け出した。ざわつく会場、本物の新米弁護士がひそひそ話をしている。
「また同罪だね。」「あの裁判官は最近いつも同罪だね。」「あの中国人絶対痴漢やったよね!そういう顔してるもんねー。」「同罪だからどっちでもいいよね。スタバ行こうよー。」
「被告人、女性車両には乗らないこと、日本語を読めるように学校へ行くことを命ずる。被害者、朝からミニスカートをはいてプラプラしないことを命ずる。以上、閉廷!」
裁判所を出てあくびをひとつ。記者を捕まえて、「本当はやってたんですよー」と教え、目隠し写真Aさんとしてピースでにっこり、一万円をせびり取る。財布には31万円。中国人の弁護士からお金を貰って頼まれた証言だった。
本当は、歌舞伎町で朝まで飲んだ帰りに、わたしがつい触ったんだけど、まあいいか。
一ヶ月バイトを休んで、中国で遊んで暮らそう。
戻る 編 削 Point(0)