さようなら/虹村 凌
A
趣旨がよくわからない格好をしたあなたは
私の家の前を通り過ぎてしまって
罰が悪そうなのと恨めしいのがまざったような顔で
ちょっと笑いながらこっちを見てたのを覚えてる
慣れてないのがバレバレなのに
ちょっと強がってみせて
足を机の上に乗せたりしてる
汚いなぁって言うと
とたんに足を下ろしてしまったりして
あなたが私じゃない人の事を好きなのは知ってる
だからちょっと誘ってみたくなっただけ
別にあなたが好きとかそういうのは全然なくて
二人でソファに座って映画を見ていると言うのに
何のアクションも起こそうとしないあなたに苛っとして
ちょっと誘ってみただけ
そした
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