私の声が聞こえますか/涙(ルイ)
のですか
暗い川面を見つめながら
いっそ飛び込んでしまおうって
そう思ったことを
あなたはきっと
そんなことは考えてくれたこともないのでしょうね
家を出るって決めた時だって
あなた云いましたよね
「あんたはあの家に戻れ」って
私は一瞬 自分の耳を疑いましたよ
小さいころからずっとずっと我慢し続けて
わがままひとつさ云わずにずっとずっと
あなたの味方でいたつもりだったのに
そんなときだって
私を抱きしめてはくれなかった
もういいよ もういいですよ
あなたが私に対して
一縷のしずくほども愛を抱いていないことは
最初からなんとなくわかっていました
でも それ
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