即興詩 「詩人の時代がやってきた」/飛鳥 彰
 
ざなみに
木の葉が浮かんで流れていく時が
近づいてきているが、
そして夜のしじまに虫の声が
美しく響く時が来ているが、
また、萩が色づき、
紅葉が山肌を光彩豊かに
染めていく季節が近づいているが、
ぼくたちは
目にするすべてのものに
光と影を見るだろう。
陰と陽を感じるだろう。
太陽と月と星を感じるだろう。
生と死を感じるだろう。
病と老を感じるだろう。
そしてふたたび光を感じるだろう。

しかしそれらは、すべて光、
京都の若い詩人が歌っているように
すべて光なのかもしれない。

今世紀は詩の世紀、
今は詩人の時代、
と、そっと、胸の奥から声を出してみる。

一陣の風が
百日紅の木をしなやかにしならせて
吹き抜けていく。

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