Death to me.../桜木 ハル
「さよなら」
長い長い道の中で、微かな時間共に過ごして
ふと彼女は僕から離れた
そろそろまた、独りで歩き出す時間だと呟いて。
「僕に生きる理由など無いよ」
彼女の居ない世界でぽつり零れた言葉を
僕はひとりで噛み締めた
孤独に戻ったのは、彼女だけではないと。
人は何故生きるのかなどと
そんなことは考える意味すらなくて
ただ、今はここに在る道を辿って
誰かと遭いたいと人は切望している、
ただ、それだけで、生きている
道が途切れたら
わざと足を踏み外して
「やっと死ねる」と微笑むだろう
ただ、それまでは、俯きながら歩いていくんだ
頭上の空が曇っていても気付かずに済むように。
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