「兎」/菊尾
 
う。 
ただ私と話ができる。その事実を愉しみまた幸福に感じている節さえ見受けられました。あの人の笑顔はそう物語っていたと、不肖ながらそう自惚れさせて頂きました。」 
なんだか凄くいい話しですけど、今現在ここの飼育は誰が? 
「えぇ、それはこの学校の子供たちがしてくれているのですが、何分、彼らは幼い。ついつい私どもの飼育を疎かにしがちです。信頼を置くにはまだ彼らには懸念してしまうのです。失礼な話ですが。」 
はぁ。なるほど。 
え、でも、その、ブラッシングは今後もあなたが続けたらいいじゃないですか。 
と、思った直後に、兎に対して敬語を使ってしまったのはこの兎の人柄からなのか
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