多重化してゆく夢の記録/佐々宝砂
服に身を包み、軍服を着た男に伴われて彼の家に入って行く。妾として。また画面かわる。釈放された兄は、地下組織からひそかな連絡を受ける。手渡されたのは印鑑と「四−十三X佐々宝砂」と書かれた小さな紙。兄は賢明に考える。街を走る、地図に当たる、これは何の数字だろう? 彼はとある貸金庫で、「四−十三×佐々宝砂」という番号を見つける。貸金庫に入っていたのは、十冊の本とビデオテープと小型発電機とビデオ付きテレビと説明の書面。彼は説明に基づきそれらを接続し、自宅でビデオをみはじめる。
【シーン4】
ビデオの最初の方にはアニメが入っている。坂を転げ落ちゆくカバのアニメだ。昔のアメリカのアニメに似ている。日本
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