泡沫人 /望月 ゆき
 
も届かない
だってきみは白いのだし
だってきみは散り散りだから
聞こえないんだね
耳をふさぐ手さえないのに

きみを探しはじめて
気づいたことといえば
きみがどこにもいない、って
こと
それだけ

両手と両足と誰かの両手と両足と
数えきれないくらい
ぐるぐると泳ぐ間も
パークで茂りつづける
柳の樹
きみの髪にも似て

それをひとすじ
リーフに垂らしたまま
ぼくは待とう
やがてうとうとと
そうしてぼくは
いつしか海を忘れる

忘れて
眠ったふりをする












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