ハンデ/星月冬灯
目の見える私と
目の見えない君
目の見える私は虚構を見つめ
錯覚の彼方に居る
目の見えない君は心で闇を切り払い
真実(まこと)を見抜く力が有る
耳が聞こえる私と
耳が聞こえない君
耳が聞こえる私は虚栄に傾き
世迷言を信じる輪の内に居る
耳が聞こえない君は研ぎ澄まされた感覚で
感性を極める力が有る
口でもの言える私と
口でもの言えぬ君
口でもの言える私は虚言の極致に立ち
慢心を起こし幻影(まぼろし)の中に居る
口でもの言えぬ君は冴え渡る
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