今朝早く君は物憂げにぼくのベッドから流離する/山田せばすちゃん
さ
そう言ってみな
きみの細い手首を掴んで
日向みたいな匂いのする髪に顔をうずめながら
「今夜はどこのベッドで眠る予定ですか?」って
まるできみのスケジュールを管理するマネージャーみたいな
口調でさ
訊きかえしてあげるから
なにも答えずにベッドから抜け出せばいい
手を振り払って
出ていけばそれでいいよ
枕をきみの代わりに抱きしめながら
ぼくはもう一度眠るから
きみに話しかける
そのつもりで
ぼくのともだちは
行くところがいっぱいあって
帰るところがない
こんなに朝早くにぼくのベッドを抜け出して
今夜はまたどこかよその男のベッドへと流離する
そう
きみは流離する
死ぬまで
死んでも
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