ジンジャーエールに関する宇宙のはなし/ゆうと
つくっている。
寿命がちぢまっていくことにも気づかずに。
ぼくはぼんやりと、そんな映像をながめていた。
そういえば、
昔国語の教科書に、エックス線の目を持っている人のはなしがあった。
ものが透けてみえる、という特殊な目を持っている人が出てくる物語だ。
くわしいことは忘れてしまったけど、それだけはおぼえている。
ぼくは考えた。中学生くらいのあたまで。
その目があったならば、ぼくは、
スカートの中の宇宙を知り、とんでもない発明をしていただろう、と。
次第に、気が抜けていってしまった。
ジンジャーエールはただの液体と化し、排水溝に流される。
おとなってつまらないものなのだろう。
その頃のぼくはすでに知っていた。
そして、
その頃のぼくはまだ、なにも知らなかったのだ。
戻る 編 削 Point(2)