残念な気持ちにウジが湧く/詩集ただよう
お魚さんやお天道さまの絵をつぶすように、大きくバッテンがしてありました。「どうしてこんなことするの?」とわたしは大きな声で叫びました。すると友達が首を傾けて、一枚の紙飛行機をわたしに向かって飛ばしてきました。
「この作品には愛や道徳の歌や聞き飽きたような台詞ばかりで
テーマがとても単純にされている割には
ハッとさせられるような絵もなければ主観性もない
自然との融和にせまる潜在意識もなければ
革新性に欠く規範意識だけがすぎる
徹底的に排除されたエゴイズムのもとに生る果実のような
甘く崇拝されうる構造的思想が足りない」
紙飛行機を広げて、書かれた文に目をとおし、横たわる友達の方をみると無表情で天井を見つめていました。その様子に、もう全てがどうでもよくなって、わたしはカバンにピアノと絵本をつめこんで、ドアを叩きつけて部屋を出ました。歌も歌えず、絵も描けず、包帯も替えられない友達の部屋は臭いまま、誰かにそうじしてもらうのをただ待っています。今でも、わたしが殺してあげた方が良かったのかと、思ってしまいます。
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