狐の盆/リーフレイン
11時には輪踊りが終わるよって。
砂利の坂道を、ようならした草履で歩く。じゃっじゃっと音がする。「音がするうちあ、まだまだじゃの」おねえがゆうとった。
「この街のおなごしが綺麗なんは、おわら踊りのおかげじゃけ、あんたもおきばり。」てゆうとった。
ほんにそう。
汗びっしょになるまで踊って、11時。 見物客がようよう消え始めたころに、会所の横丁へ行った。
「りん」
「まささ、おかえり」
人ごみから離れるように歩きながら話を続けた。 人いきれとお囃子がとぎれ、かすかに虫の声が聞こえる。
「綺麗になったな、すっかりおわらのおなごしだ」
「でも、まだ編み笠かぶれんのんよ」
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