Nemo/二瀬
、底だけを
ただ避け続けながら、だから、
私はまた生きてしまう、君の仮称の名で』
それは
灯火を一つ落とす度に
水面の人がほんの僅かに
顔を曇らせ、さようなら、
が成立する前に波紋に濁され
初めましてと
すかさず公人たちは義務をかかさず
私は
雨の強さを量るすべを忘れた
からだ
まぶたと
結んだくちびる、
耳をふさぐ両手は、私じゃない
私とは呼ばない
死んだ私を必死に揺すった、あの時あなたはどう思っていたの
カタカタと無機質な音だけが問いただされて、
黒光りしながら揺れる、帯の狭間より
指から剥がれ落ちた線香花火を拾う、幾度も
幾度も、
私の意志にすら従わないものを
それだけに、すぎな
かった
火を点けるすべだけは
生かしたまま
雨のように親身な他人事が、降り続けていた
ひたひたと私を包む外被を犯すだけ
決して指先の重さに触れや、しない
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