なぜに/渡邉建志
 
なぜにこんなに空が美しいのかとか そういう
ことを考えている、ぼんやりと、なにげなく、
どこへ行くのだろうとか、どこへ帰っていくのだろうとか、
たましいはいったい何なんだろう、とか考える おなかがへった
なぜぼくはこんなにも情けないのかぼくは
生きていてはいけない気がする、どうしても
禁じられている気がする

空はどうして青いのだろうとか そういうことをぼんやりと
考える、どうして歌はきれいなのだろうどうして色は美しいのだろうどうして
風は
涼しいのだろう

ありとあらゆるなぜが空をおおいなぜの雨が降る
あまりにも多くのことがわたしには分からない世界の中で
あまりにもその根拠が分からない一大中心としてわたしはそこにある
うたうこともできずに
よそおうことすらできずに

理由からはるか遠いところにきみはいてわけもなくきみを
うつくしい、うつくしいとくりかえすわたしは
わたしじしんに理由を問い疲れてただもうきみになりたい
ときにすべてをわすれてそう夢見るのもゆるされているのかな、ゆるされていない


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