真昼の便所/詩集ただよう
められない金銭感覚、それは昔から、何も変わっていない。
何をすればいいのかを悩むのは若い頃に終わってしまって、今の俺は何もできないことに辟易していたけれど、自分だけのせいではないその怒りをぶつける壁だけを、ただ、ひたすらに探していた。それは八年見慣れた電波通信社本社ビル、ガラス張りの四十五階建てよりも高い壁だとも辟易していた。
昨日起こった事件の私立小学校は娘が通っている小学校だった。昼になっても恵子から何も電話がないことにほっと息をついた。今日もまた頭の調子が悪くて定食の味はわからなかった。昼休みに混み合った店の便所で、胃液交じりの豚肉と米を少し吐いた。
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