ピエタに寄り添う/セルフレーム
 
2時頃、だったかしら・・・
旅人は、ゆっくりピエタに近付いて、裏を弄りはじめた。
ピエタの裏側に隠された、先代の神父のロザリオの在り処を知っていたらしかった。

ロザリオを盗った旅人は、振り向いてドアに向かっていく。

私、後ろから声をかけたの。

「それは大切なものよ」
「子の村の神父は優しかったけど、決して有名なんかじゃなかったわ。
そんな人のロザリオを盗んで、貴方に何の得があるの?」

旅人は静かにこう答えた。

「教会の・・・!
ロザリオは、私のものなんです」

「此処の先代の神父様は私の叔父です。
私、幼い頃に叔父からロザリオを貰いまして・・・
お礼
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