思い出迷子/虹村 凌
 
は俺を殺す事だって出来るのに
いや君が殺される事だってありうるのに
それに気付かないとでもいうのかい?
君の低い体温を知ってるだけでも
幸せとしておくとでも思ったかい?
渋谷の空は曇っていて
星屑みたいに雨が降ってて
それでも彼女の美しさが残ってる事を
少しだけ安心した心持でいられた


境内で煙草を吸ってる俺を
少し離れた場所でワタナベと一緒に並んで見てる
嫌そうな目をして
嫌そうな目をして
女子高生だった君はピースを吸ってた事を
ワタナベが知ってるか知らないかなんて事はどうでもいい
ただ俺は何でワタナベがいるのか理解出来ずにいて
それは夜になってもずっと理解
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